企業選びの軸が見え始めた冬
11月以降は、本格的に動き始めていったんですか?
11月頃は、素材系のメーカーに行くか、ものを作っている重工や自動車メーカーに行くか迷っていて、その答えを導き出すために自己分析をしていきました。
なるほど。答えはすぐに出ましたか?
やっぱりすぐには出なかったかも。ゴールに繋がる要素は出てきたけど、まだはっきりはしていませんでした。
ゴールに繋がる要素というのは?
1つは人ですね。どんな人と、どんな環境で働きたいかというイメージは結構早い段階で決まっていて。過去の経験を振り返って見たときに、楽しさややりがいを感じられていたのは、苦しくて大変だけど目標に向かって頑張っていたときだったんです。どうせ働くなら、同じようなやりがいや楽しさを経験したいなと。そのため、「熱量がある人と一緒に働きたい」「自分がやってみたいことに挑戦できる環境で働きたい」という思いが芽生えました。
ただ、それ以外の要素で言うと「人の役に立つものをつくりたい」という感じで全く深掘りができていませんでした。正直メーカーならどこにいっても何かしらの形で人の役には立つんですよね(笑)。その中での差別化が難しかったです。
それに対する答えが出始めたのは、いつ頃でしたか?
12月中旬頃です。私はラクロス部のマネージャーをしていて、人から頼られたり何かを任されたりすることにすごくやりがいを感じていたんです。その点から、間接的に何か言われるよりも、関わった人から直接的に評価をして貰える、かつより多くの人から評価が得られる仕事が良いなと思い始めました。
そう考えたときに、素材や重工だとなかなか世間一般では認知が広くないなと。それよりも、自動車などのBtoCのメーカーで世間一般の人から直接評価を貰えるものを作った方が自分の承認欲求も満たされるし、やりがいも感じられるなと思い出しました。
12月に、改めて視野を広げた理由
ここで志望が一気に絞れてきたんですね!
はい。ここで自分の中で納得感を得られましたね。でもその一方で完全に安心はできませんでした。
というと?
推薦って企業によっては枠が少なくてシビアなので確実ではないし、「ほんとにこれでいいのか?」という思いも多少あったんです。だからこのタイミングで、今まで見てこなかったプラントや食品系の企業も少し見始めました。
ここでもう一度視野を広げたんですね。
はい。自由応募でも内定を持っておきたいという思いがあったので、12月頃プラントの本選考に申し込んだり、本選考優遇がある食品系のインターンに応募したりしていました。今後失敗しても大丈夫なように、保険をかけるような作業をし始めていましたね。
なるほど。ここで他の業界に触れてみて、どうでしたか?
魅力的な部分は多かったです!特にプラントは、働いている人の熱量を強く感じていいなと。そこから本選考も受けようと思いましたし。一方で食品では想像以上に自分の持っている知識やスキルが生かせないなとも感じました。
新たな気付きを得る大切さ
志望業界が一定固まりつつあった中で一度視野を広げたことは良かったと感じますか?
はい!他の業界のESを書いたり選考を受けてみることで、「やっぱり自分はあの業界の方が合っているな」と、元々志望していた業界の志望動機をさらに深められたと思います。あまり興味が無い業界は見ないという考え方を否定するわけでは無いけど、一度視野を広げてみることで新たな気づきを得られる人もいる、ということは伝えたいですね。
ここで視野を広げたのは誰かに言われてですか?それとも自分から?
自分からですね。私はすごく心配性で、リスクを回避したいという思いが強くて(笑)。結果的に自由応募でも内定は獲得していたんですが、推薦を使う人の中で私ほど慎重に就活していた人はあまりいなかったと思います。
そうなんですね。慎重に行動しておいて良かったと感じますか?
感じますね。少しでも安心材料を作っておくことで就活をうまく進められたなと思います。就活って不安とか悩みが悪く働くことがすごく多いと思うんです。不安や焦りのあまり自己分析が行き詰まってしまったり、志望動機もわけ分からなくなってしまったり。そういう状態を回避するためにも、不安要素はできるたけ少なくなるように行動しましたね。
いよいよ推薦取得へ
年明けからはどう動いていったんですか?
いよいよ推薦を出す企業を決定しなければならない時期でした。私の専攻では推薦は1つの企業にしか応募できなかったので、本命の大手自動車メーカーに出したい気持ちはありつつも「落ちたらどうしよう」と不安で最初はなかなか決断できないでいました。でも、インターンに参加して、その後も説明会等に積極的に参加したため、リクルーターの方と1度話す機会をいただけたんです。そこで推薦を出そうと決意が固まりました。
インターンへの参加がここに来てプラスに働いたんですね!
もちろん参加するだけでは無くて参加中の取り組みの様子にもよると思います。ちなみに私は、インターンに参加する上で事前の下調べを徹底して企業に対する自分の考えを持つこと、質問するときは自分の意見を述べた上で質問することを心がけていました。
お話を聞いていると、色々な場面から板坂さんの事前準備の丁寧さが感じられます。推薦を出した後は、何か対策などをしていましたか?
自動車メーカーに出した一方で、自分自身が自動車自体に関して全く詳しくなかったので、自動車について調べたり見たりするようになりました。また、企業のHPで社員の方のインタビューや、採用に関係なさそうなコンテンツなども目を通すようにしていました。とにかく企業に対する理解を深めようと。
あとは、面接で研究のこと聞かれると思ったので、自分のやっている研究背景の整理をしたり、それを先生に確認したりもしていました。
本当に行きたいと思える企業選びを!
その後の選考のフローはどんな流れで進みましたか?
2月末にESを出して、3月頭にマッチング面談、その後に推薦取得、6月に最終面接という流れでした。
ESを書いたり面談を受けるに当たって気をつけたポイントはありますか?
リクルーターの方にしっかりESを見て貰って、指摘されたポイントはより深く知りたい部分なのかなと思い、面談に向けて深掘りされてもしっかり答えられるように準備はしました。私の場合は倍率は3倍くらいだったかな、機械系等は複数の企業に応募できることもあって人気の企業は50人ほど学生が集まる場合もあるそうです。推薦を使うといっても全く安心はできないと思います。
そうなんですね、意外です・・・。
推薦って失敗しても次の企業、次の企業と受けれる仕組みになっている場合が多いんです。その安心感から就活に対して熱量が全くない人もいるんですよね・・・。「とりあえずどこかに受かればいいや」程度だったら頑張らなくても入れちゃう。でもそれって私は違うなと思っていて。推薦を出せる企業がたくさん合ったとしても行きたい企業に行ける保証はどこにもないし、それだったら自由応募でも「ここになら行きたいと思える」という企業を見つけて受けておいたほうが良いと思います。
過去と未来の両面から見つめ直そう
就活を1年間やってみて、大事だと思ったことはありますか?
就活をやっていると、自分の過去を振り返ることは多いと思うんですが、私の場合将来のことをよく考えました。未来を見据えて、自分の理想を描けたからこそ就活の軸や志望動機も自分の納得感のいく、後悔の無いものにできたと思います。
これから企業選びをしていく上で迷いや不安を抱える就活生は多いと思います。どんなメッセージを送りたいでしょうか?
今の時期(10~11月)、不安なのは全然問題ないことだと思います。むしろ考えているからこそ不安になるのであって、その状態は当たり前だしむしろ良いことかなと思うんです。不安を埋めるために、過去と未来の両面から自分を見つめていけば少しずつ見えてくるものがあると思います。がんばってください!
ありがとうございました!