夏にインターンを経験したものの、「本当にやりたいこと」が定まらず、就職活動を続ける学生も多いでしょう。特に技術職はコースが多岐にわたり、どの道に進むべきか迷うものです。
今回は、夏に方向性のズレを感じながらも、秋冬の戦略的な行動で志望企業の内定を掴んだ学生の体験談を基に、その具体的な「動き方」と「すべきこと」を紹介します。
【今回話を聞いた人:工学研究科 ソニー技術職内定】
① 夏までどう動いていたか:「漠然」から「方向性」の模索
M1の春から「ソニー一択」という強い軸はありましたが、夏の時点ではまだ漠然としていました。
【夏の就活状況】
- 検討企業・職種: ソフトウェア、ソフトの開発、ITに強いコンサルなど、幅広く検討。ソニーの社風には惹かれつつも、志望度は「なんとなくいいな」レベル。
- 夏のインターンと選考:
- 自分の研究テーマに近いという理由で、ソニーのプレステ開発コースに参加するも、面接で不合格。「よく考えたら、そのコースでやれることと自分のスキルが合わない」と、自身の興味と企業の求めるもののミスマッチを痛感。
- 同時期に自分の選考であるロボティクス系の選考も経験。
- 夏の気づきと方向転換:
- この経験と自己分析から、「動くものを制御してハードウェアを動かすソフトウェア開発が良い」という軸が明確化。
- さらに「エンタメ性があって人を感動させる仕事」を追求した結果、「ソニーのカメラ事業」という具体的な目標が見つかった。
夏は広く浅く活動し、「自分が本当にやりたいことではないもの」を知ることで、秋冬の活動の方向性を定める重要な期間となりました。
② 秋冬の動き方:「執念」と「効率」の両立戦略
夏に得た気づきを武器に、秋冬は「執念」と「効率」を重視した戦略に切り替えました。
1. 徹底した志望企業の見極めと集中
夏選考で志望コースとマッチしなかった経験から、「技術職の多すぎるコースの中で、自分の進むべき道はどこか」を見極める活動に注力しました。
- OB・OG訪問の集中: 9月から先輩のつてでソニーの社員に計10人ほど徹底的に話を聞きました。説明会は一切参加しなかったが、ES添削や面接対策は主に就活支援サービス(エンカレなど)を利用。細かい情報はすべてOB訪問で聞く「効率重視」のスタイルを確立。
- 適合部署の特定: OB訪問を通じて、自身の技術やキャリア観に最も適した部署を特定し、そこをピンポイントで目指すことに注力。
- 選考先の絞り込み: すでにコンサルで内定を1つ確保できていたこともあり、時間や労力を考え、志望度の低い企業はカット。乱れ打ちで20社以上受けるのではなく、気になる数社に集中して受ける効率重視の戦略を取った。
2. 研究・学業との両立
秋冬の就活は、修士の研究との両立が最大の課題となります。
- 学業の調整: 授業は前期でほぼ取りきり、後期は負担の少ない科目のみに集中。
- 時間配分(後期): 就活に時間を割くのは「キャリア形成を考える部分以外はアホくさい」と考え、配分を徹底管理した。
- 研究:バイト:就活 = 6:2:2
- (参考:前期は5:2:3)
- 時間の使い方: コツコツ情報を集め、キャリアについて考える時間を確保しつつ、選考対策には最低限の時間を割くことで、研究をメインとしつつ内定を掴むことに成功した。
③ 秋冬ですべきこと:選考通過に直結する3つのアクション
秋冬の選考は、夏の選考と比べて、より具体的かつ厳しくなります。選考通過の確率を上げるために、以下の3つの行動を徹底すべきです。
1. 「結局何がしたいか」を深掘りする
面接通過率(10社中6社通過)や落ちた理由(企業研究不足、技術・経験の不一致)から見ても、「何をやりたいか」を明確にすることは、選考結果に直結します。
- 自己分析の徹底: 「やりたいことがわからない」と腰が重い人こそ、「今までどうだったか(過去の経験)」を振り返り、モチベーションの源泉を言語化。
- キャリア形成の重視: 企業説明会よりも、OB訪問や先輩に話を聞くなど、個別の場を通じてキャリアパスを具体的に考える時間を確保。
- OB訪問の活用術!についての記事はこちら
2. インターンは「ガチ」で挑む
秋冬に実施されるインターンシップは、夏の「軽い体験」とは異なり、選考直結の「ガチ」な採用活動であることが多いです。
- 職種別採用で内定を勝ち取るためにも、インターンには高いモチベーションと真剣な姿勢で臨む必要がある。軽い気持ちで参加するのではなく、「ここで内定を掴む」という覚悟を持って挑んだ。
3. 自分の技術と企業の求めるものをマッチングさせる
夏にソニーや秋に富士フィルムの選考で不合格となった主な理由は、「持っている技術・経験と企業が求めるものが合っていなかった」ことです。
- 企業研究の深掘り: 志望企業が、自分の持っている技術や経験を、具体的にどの部署で、どのように活かしてほしいと考えているのかを徹底的に調べた。
- ミスマッチを避ける: 異なる畑(業界)を見るのは面白いかもしれませんが、秋冬からは時間的制約もあり、内定獲得のためには自分の技術に合う分野に集中した。
まとめ
秋冬の就職活動を成功させる鍵は、「夏までの経験で得た気づき」を活かし、「キャリア形成を深掘りするためのOB訪問」と「志望度の高い企業への集中的な選考対策」に時間を使うことです。効率を重視し、本当にやりたいことを見定めた行動こそが、内定への最短ルートとなります。
